若松港の軍艦防波堤についての一論考: 敗戦後残存の日本帝国海軍艦船の報国

摘要

日本の敗戦後，連合軍の占領政策の一環として，疲弊した日本の港湾等の整備?増設等が計画され，計画実現化の一つとして，残存する日本帝国海軍艦艇を防波堤として利用することが考えられた．その利用実現例の一つとして，洞海湾入口北九州若松港の「軍艦防波堤」と呼称されて北九州市民に親しまれている防波堤が存在する．本報では，「軍艦防波堤」の成立の経緯?変遷?現状等を調査し，技術関連遺産としての評価と文化的遺産としての意義について考究することを目的とする．当初の基本の防波堤は３隻の駆逐艦で構成されており，戦後日本の復興と平和繁栄の礎のために艦艇３隻本体そのものが貴重な資財として利用された実現例であり，現在も港を守り貢献をし続けている．