Helmholtz分解と鏡像の原理の接点，並びに固体の数値計算法

摘要

本稿は有限変形理論に対する，剛体変形を含む，固体の数値計算法確立を目的とする．そのベースとして，剛体変形（回転）を含む微小変形計算法をHelmholtz分解法に基づいて確立する．本稿では，微小変形理論は線形式に限定する．すなわち物質微分項は無視する．目標とする将来の有限変形は，幾何学的形状変化による非線形とする．Helmholtz分解（H-d）は，任意のベクトル場をLateral（縦）成分とTransverse（横）成分に分解する．一般に圧縮性である固体では，パラメータ自由度数が増えることで，ひずみ場が圧縮成分と非圧縮成分に分離可能となる点に着目する．かつHelmholtz分解の根拠を，鏡像の原理との接点に求めて，両者の具体的イメージを把握する．具体的イメージとは，固体はひずみエネルギー最小の原理に基づいて計算するので，せh断ひずみは式中に欠かせないが，剛体回転は，▽uの反対称テンソルに対として表れる変数である．その対を，鏡面を傾けて，鏡像で説明できる角度を示し，その角度を両者の接点として具体的に把握することを指す．