IoT の'モノ' としての無人航空機とドローンに必要な通信ネットワーク技術: 5Gの本来あるべき姿

摘要

あらゆるモノ" がネットワークに繋がるIoT の概念が提唱されて久しい現在，その対象がようやく人工知能(AI) を搭載した知的移動体にまで広がり始めようとしている．その先駆けとも言えるのが無人航空機とドローンである． しかし，これらを巡っては，IoT 実現の要である通信ネットワークの課題が指摘されている．無人航空機やドローン で撮影した映像のリアルタイム伝送等に求められる長距離通信を実現するには，新たな通信ネットワーク技術が必 要である．次世代携帯電話網(5G) に期待する向きもあるが，関連産業界の経済性重視の結果として，三次元空間カ バー率の問題に関する議論が置き去りにされ，Public Safety に関する関連産業界の取り組みも低調であることには， 失望の念を禁じえない．ここでは，無人航空機の利用拡大に必要不可欠となる新技術について，総務省委託研究開発 課題「無人航空機システムの周波数効率利用のための通信ネットワーク技術の研究開発」で実施中の内容を踏まえつ つ，本来あるべき研究開発の方向性，そして，実用化?社会実装の鍵となる新たな周波数管理事業者の設置の必要性 について著者の見解を示す．