衛星画像を用いた空間平均日射強度のランプ変動予測に関する一検討

摘要

本報では，中部全域の空間平均日射強度を対象として，衛星可視画像を利用した6時間先までの空間平均日射強度の確率分布を予測する手法を構築した。そして，数時間先のランプ変動の発生可能性を表す指標の導出を試みた。提案手法では，大きなランプ変動の原因となる大きくて境界がはっきりした雲に着目し，可視画像においてそのような雲の境界部分の判定を行い，移動ベクトルの算出対象とする小領域とした。また，移動ベクトルの算定においては，時間の経過に伴う雲の変形の影響などを減らすため，現在画像と過去画像の相関係数Rの空間分布を考慮して移動ベクトルの確率分布を算定した。そして，様々な小領域について算定された移動べクトルの確率分布に基づき，空間平均アルべドA_(ave)の予測値に関する確率分布を算出した。これを日射強度推定式に代入し，6時間先までの予測日射強度確率分布を算出した。そして，予測日射強度における大きな変動の発生確率分布に基づき，数時間先のランプ変動の発生可能性を表す指標であるランプ変動発生危険度を導出した。