精密なポンプ?ピぺット操作を必要としないサンプル2次元濃度こう配を有する液滴アレイの生成

摘要

2次元にアレイ化された微小液滴は，液滴を用いた生化学的アッセイ·医療診断のハイスループット化や低コスト化に貢献できると期待されている。例えば，創薬分野におけるタンパク質の結晶化，新薬に対する細胞の感受性の評価,がh?感染症診断に利用されるデジタルPCR,微生物?細胞培養など様々な応用可能性が示されている。2次元液滴アレイの更なる発展には，精密なポンプ·ピぺット操作に依拠せず，試薬?サンプルの濃度こう配を持っ液滴アレイを形成できる方法が必要である。液滴のアレイ化技術の従来法として，マイクロ流体デバイス内で液滴を生成·アレイ化する方法や親水性表面がパターン化された墓板を用いる方法，対面する2つの基板上に設けられた溝をスライドさせて液滴を生じるSlip-Chipなどが知られる。一般的に，2次元のサンプル濃度分布を持っァレイを生成するためには，各液滴へのピぺット操作が必要である。現在，マイクロ流体デバイス内で濃度こう配を持っ液滴を一度にアレイ化する技術が存在するが，生成された液滴アレイは一次元に限定される。近年では，Slip-Chipと濃度こう配を生成する流路と組み合わせ，2次元に試薬の濃度こう配を形成する方法が報告された。しかしながら，濃度こう配形成には精密なポンプ操作が必要であり，さらにそれらを正確にスライドさせなければならないなど，装置の複雑さが課題として残る。以上のように，精密なポンプ·ピペット操作を必要とせず，2次元のサンプルの濃度こう配を持つ液滴アレイを生成可能な方法は未だ開発されていない。