冷間多軸鍛造加工を施したA6063合金の時効による機械的特性の変化

摘要

アルミニウム合金は高比強度の優れた特性により、軽量構造材料として用いられることが多い。Al合金の高強度化手法として、時効強化や結晶粒微細化が一般的である。特に近年、巨大ひずみ加工による結晶粒超微細化が注目されている。巨大な加工ひずみを加える場合、材料の塑性加工性が加工限度を決定する。私達の研究グループは、多軸鍛造法（MultiDirectionalForging/MDF）によって、A7075合金の高強度化を試みたが、MDF中に生じるクラックによって巨大ひずみ加工の導入が困難であった［1］。Al合金中でA6063合金は押出加工性に優れ、建築用サッシなどに広く使われている［2］。また、本合金は時効硬化性を有するが、巨大ひずみが導入されたA6063合金の時効特性に関する研究は多くはなされていない［3］。本研究では、A6063合金にMDFを施すことにより母相高強化を行った後、時効による更なる高強度化の可能性について検討した。特に、時効温度を変化させて、機械的特性と組織の変化を詳細に調査した結果を報告する。?