アルミニウムの犠牲防食性におよぼす溶質原子の影響の第一原理計算

摘要

鋼構造物の防食技術の一つである金属溶射法は、鋼材に比べて電気化学的に電位が卑である金属を用いて鋼材を被覆し、その犠牲防食作用、環境遮断効果により腐食を防ぐ手法である。これまでにZn、Zn-15Al、Al、Al－5Mgなどが溶射材として用いられてきた。特に最近用いられる機会の多いAl-Mg合金では自己修復性を有するとされているが、Zn合金よりも犠牲防食作用が低い。そのため、鋼構造物の長寿命化のために犠牲防食性がより高い、つまり電位がより卑なAl合金溶射材が求められている。Alの電位における合金元素の影響を調査した報告は限られているが、Zn、Sn, Inなどが固溶すると電位が低下することが知られている［1-3］。