白金前駆体を導入した層状オクトシリケートの層間縮合による 白金ナノ粒子含有 RWR 型ゼオライトの作製

摘要

結晶性ミクロ多孔質アルミノケイ酸塩の総称であるゼオライトは、触媒·吸着·分離等に応用されている無 機材料である。特に、細孔内に金属種を導入した金属含有ゼオライトは金属を安定に担持しつつ、細孔由来 の選択性を示す不均一系触媒として興味深い。最近、層状ケイ酸塩を前駆体に用いた金属含有ゼオライトの 作製法が注目されている。層状ケイ酸塩は結晶性の 2 次元ケイ酸塩シートが積層した物質である。層間に交 換可能なカチオン、層表面に規則的に配列した SiO–/SiOH 基を有しており、層間反応を利用して金属前駆体 を導入できる。さらに、隣接層間での SiOH 基同士の縮合反応 (層間縮合 )により 3 次元化し、ゼオライト 1) へ転換できる。層状ケイ酸塩の一種である層状オクトシリケート (Na-Oct: Na8[Si32O64(OH)8·32H2O])は、焼成 を用いた層間縮合を経てオールシリカ組成の RWR 型ゼオライトへ転換可能である 。RWR 型ゼオライトは 2) 酸素 8 員環からなる 1 次元細孔を含hでおり、細孔由来の制限空間を活かした形状選択性を有する触媒担体 として期待できる。Na-Oct 層間に金属イオンを導入したとする報告はあるが 、層間の金属種の分析は不十 3) 分であり、ゼオライト化も未達成であった。本研究では、Na-Oct 層間に白金前駆体を導入し、その後の層間 縮合による白金ナノ粒子含有ゼオライトの作製について検討した (Scheme 1)。層間縮合の際はアミド分子存 在下での還流により、比較的温和な条件で縮合が進行する手法 を採用した。 4)