セラミックスフィラー充填率の低減を目指した カーボンナノチューブ/窒化アルミニウム放熱複合フィラーの作製

摘要

近年のサーバーやパワーデバイスの情報処理能力の増加にともない「放熱材料」が活発に研究されている。 この中で、電子部品の封止などを担う樹脂と高熱伝導性のセラミックスフィラーとの複合材料が研究開発さ れている。しかし、十分な熱伝導率の発現には、セラミックスフィラーを樹脂に対して60%（体積比）以上 充填する必要がある。このようなフィラー充填率では、本来の母材（樹脂）の特性（機械的性質など）や機 能（電子部品の封止など）が低下するため、フィラー充填率の低下は重要な課題である。一方、我々はカー ボンナノチューブ（CNT）の高い合成効率を実現するスーパーグロース法[1]をこれまでに開発している。この CNT 合成技術を活かし、高熱伝導性の窒化アルミニウム（AlN）粒子基板上に直接CNT を合成したCNT/AlN 放熱複合フィラーを作製し、このフィラーを母材と複合化することでフィラー充填率の低減を実現できると 考えた。そこで本研究では、研究の初期段階としてCNT/AlN 複合フィラーの作製技術の開発を目的とした。