高効率太陽光励起レーザーの実現に向けた Nd~(3+) , Cr ~(3+) 共添加 LaGaO3 単結晶の作製

摘要

太陽は再生可能なエネルギー源であり，この太陽光を利用する方法として太陽光励起レーザーがあ る．近年では，酸化マグネシウムに太陽光励起レーザーを照射することで，純粋なマグネシウムを生み出す ことができるマグネシウムリサイクル [1] や静止軌道上で太陽光を集めてレーザー光に変換し，その励起エ ネルギーを地上に送り電力や水素の形で利用する宇宙エネルギー利用システム [2] など様々な太陽光励起レ ーザーの応用が提案されている．太陽光励起レーザーの研究の多くは Nd~(3+) と Cr ~(3+) を共添加した Y3Al5O12 (YAG) セラミックスがレーザー媒体として用いられている．Cr ~(3+) は可視域に広い吸収帯を持ち，太陽光の多 くの波長成分を吸収する．また，Nd~(3+) の 4 F3/2 → 4 I11/2 のレーザー遷移はレーザー終準位が基底状態ではなく 4 準位系であるため低しきい値で発振するレーザーイオンとして働く．しかし，Cr ~(3+) から Nd~(3+) へのエネルギ ー移動効率は室温では 20% 程度 [3] であるためエネルギー移動効率の向上が望まれている．そのため本研 究では，Nd~(3+) および Cr ~(3+) を共添加できるホスト結晶を選択し，高効率太陽光励起レーザー結晶を作製する ことを研究目的とした．