オーステナイト系ステンレス鋼の粒界連結性のフラクタルに基づく評価方法の確立

摘要

オーステナイト系ステンレス鋼は耐酸化性?耐食性に優れるが，高温に曝された熱影響部では鋭敏化により粒界近傍での耐食性が低下する問題が生じる．個々の粒界の粒界応力腐食割れや粒界腐食の度合いは，粒界の性格構造に強く依存し，対応粒界はランダム粒界に比べて高い耐食性を示すことが明らかにされている．このような粒界劣化現象はランダム粒界を伝播するものと考えられることから，ランダム粒界連結性をフラクタル解析により評価することにより，従来の材料組織評価法に比べ，より精密な腐食の予測と制御が可能になるものと考えられる．本研究では一般的なオーステナイト系ステンレス鋼であるSUS304およびSUS316Lに対してフラクタルを用いた評価法の有効性をバルク特性と関連づけて調べた．