(98-0380)MoSi2/Mo5Si3 共晶一方向合金の微細組織と力学特性に及ぼす結晶育成条件の影響

摘要

我々はMoSi2 の実用化の際の問題点である乏しい室温靭性，不十分な高温強度を改善する目的で，共晶温度が1900°Cと高く，一方向凝固(DS)により一定の方位関係を持つ複雑なスクリプトラメラ組織が形成されるMoSi2/Mo5Si3 共晶合金に注目し，微細組織，力学特性に及ぼす添加元素の影響について，系統的な調査を行ってきた．その結果，Mo の一部をある種の第3 元素で置換した合金において，高温強度ならびに室温破壊靭性の向上が見られることを明らかにした．一般に共晶合金の力学特性の向上には組織の微細化が有効であるため，組織の均質微細化を図ることでMoSi2/Mo5Si3 共晶DS 合金のさらなる強度向上が期待される．これまでに二元系MoSi2/Mo5Si3 共晶DS 合金について，一方向凝固時の凝固速度の上昇による組織微細化と高強度化を確認した．本研究では同様の実験を添加元素を1 種あるいは2 種加えた合金系についても行い，MoSi2/Mo5Si3 共晶DS 合金の微細組織と力学特性に及ぼす凝固条件の影響について明らかにすることを目的とした．