(S6.13-S0010)実用材料表面と表面科学·電気化学·材料科学との接点

摘要

清浄な固体表面を対象とする表面科学は、超高真空技術の発展とも相まって、表面原子や分子の動的挙動、さらにそれに対する表面電子状態や磁性の基礎的影響を実験および計算の両面から提供可能である。その一方、複雑な実在表面現象の解明に対する万能解は存在せず、複数のアプローチを総合した学際的なアプローチが求められている。近年の微細で高度な表·界面構造を有する製品に要求される表·界面特性は厳しく、シングルナノサイズの実在表面現象解明に向けた基礎的描像はもとより、製品が実用される環境に応じて、材料科学や電気化学面からの貢献も求められている。燃料電池自動車用の普及に向けた技術課題を例に引けば、シングルナノサイズのPt やその合金の触媒能を燃料電池の実動作環境(強酸性、起動停止時を含めた電位負荷変動)において極限まで引き出すための手掛かりが求められている。