(156-0387)Ti-15Zr-49.7Pd 高温形状記憶合金の形状記憶特性

摘要

形状記憶合金は自動車や航空宇宙分野等の様々な分野で利用されている．近年我々のグループでは，逆変態温度(Af)100～200°C程度を狙ったTi-Ni 系高温形状記憶合金の開発を行ってきた．その結果高Zr 組成によるH 相生成に起因した高強度や，Ti-rich 組成による高変態温度，比較的大きな4.5%の回復ひずみといった優れた特性を持つTi-20Zr-49.7Pd (mol%)合金を開発した[1]．しかしこの合金はAf付近で時効が進行し，nmサイズの微細析出物が生成することで変態温度が低下してしまう．最近の進捗として，Zr 組成減少によるマトリクス単相温度領域の拡大により析出物生成を抑制し，その後変態温度の調節のため低温熱処理を施したTi-15Zr-49.7Pd 合金で，100～200°C間での変態温度の安定性向上に成功した[2]．一方で本合金の回復ひずみ量や再配列応力といった形状記憶特性については未検討であった．そこで本研究では本合金の均質化材と変態温度調整を目的とした低温時効材，それに加え高温で数百nm サイズのH 相析出も施した高温+低温時効材について上述の検討を行った．