(P93-P0119)長期熱時効したA533B 型圧力容器鋼の磁気ヒステリシス特性

摘要

近年、原発の世界的超長期利用を念頭に、特に高中性子照射量領域における原子炉圧力容器鋼の照射脆化が問題となっている。原発の長期利用は、健全性評価のための監視試験片不足に直結するため、我々は、従来の衝撃試験の代替技術の一つとして、磁気的非破壊評価法に着目してきた。過去の系統的なA533B 型圧力容器鋼材の磁気ヒステリシス計測から、低照射量領域ではCu 析出物形成と残留応力緩和の二つの微細組織変化が保磁力に寄与すること、高照射量領域（＞～1020 n/cm-2)では保磁力が付加的に増大することを見出してきた。特に後者の保磁力増加はMn-Ni-Si 析出物形成を示唆するが、圧力容器鋼内部は290°Cの高温下のため、熱脆化も加味した磁気特性変化のメカニズム解明が不可欠である。本研究では、未照射のA533B 型圧力容器鋼材を最大3 万時間熱時効し、熱脆化が硬度および磁気ヒステリシスに与える影響を調べたので報告する。