TOF-SIMS による耐熱鋼中微量元素の面内分布測定

摘要

近年，環境問題への関心の高まりから、火力発電プラントの発電効率の高効率化が求められており、高温·高圧環境下で長時間使える耐熱鋼の研究開発が行われている。耐熱鋼の開発にあたり、主な課題となるのがクリープ現象であるが、火力発電プラント用のフェライト系耐熱鋼においては、ボロン、窒素などの微量軽元素を添加することにより、クリープ強度が向上することが知られている。そこで我々は、TOF-SIMS（飛行時間型二次イオン質量分析法）を用いて、フェライト系耐熱鋼内の微量元素の面内分布を測定し、微量元素添加による耐熱鋼の機械的特性向上のメカニズムの解明に取り組hでいる。TOF-SIMS は、固体表面に一次イオンを照射し、試料表面から放出される二次イオンを飛行時間差により質量分離して、得られたスペクトルから試料表面の元素及び分子情報を検出する手法である。今回、窒素濃度が異なる3 種類の耐熱鋼試料をTOF-SIMS を用いて測定し、窒素濃度とボロン分布の相関を調べたので報告する。