宇宙エレベーター構想におけるクライマー駆動ローラの設計と動的解析

摘要

宇宙エレベーター建設構想とは，従来までのロケットを主体とした宇宙への移動手段に対して，宇宙空間から吊り下げられたケープルを用いてクライマ一を昇降させる夢の手段として提案されてきた1〕。このような構想を実現するためには，様々な基礎技術の確立が必要となるが，その一技術として，エレべ一ターの昇降機構とその関連技術の研究開発が重要と思われる。日本宇宙エレベーター協会では，その基礎技術の確立と構想の周知を目的として，宇宙エレベータ一チヤレンジSPEC(Space Elevatorchallenge)を開催している2)。本チャレンジでは，ヘリウムガスを充填したバルーンにベルトまたはロープ形のテザ一を吊るし，そのテザ一上をクライマ一が昇降する。本年(SPEC2015)は高度200mと1200m の2つのクラスでチャレンジが行われる予定であるところで，著者らは上記の構想実現を目指して，昨年度よりクライマーの設計?製作を開始した3)。クライマーの開発では，テザ一に沿って昇降する移動機構の形式，モータ選定，制御システム，エネルギ一の供給方法など，総合的な技術力が必要となる。