機械式冷凍機用ヒートスイッチの性能向上へ向けたスイッチング機構部材の検討

摘要

赤外線宇宙望遠鏡は高精度?高感度の天文観測を行うために望遠鏡全体を極低温へ冷却する必要がある.次世代赤外線宇宙望遠鏡SPICAは，大型の望遠鏡全体を20K級2段スターリング(2ST)冷凍機と1K級及び4K級ジュールトムソン(JT)冷凍機を組み合わせた機械式冷凍機システムによって6K未満に冷却を行う設計となっている.この冷凍機システムには高い信頼性が要求されており，仮に冷凍機が1台故障したとしてもノミナル運転時に相当する冷却能力の維持することが可能な冗長性が必要となる.2ST冷凍機1台故障時の熱侵入量はその冷却能力に対して無視できるものではなく，冷凍機システムの冷却能力を維持するためにはこの熱侵入を吸熱するための2ST冷凍機を要する.そのため現状，冗長性を確保するため2ST冷凍機を3台，JT冷凍機を2台搭載する設計方針となっている(Figure1).