宇宙産業の特殊性と研究マ不ジメント: 大阪工業大学における研究·教育の現場から

摘要

研究段階における知的財産マネジメントの重要性が認識されて久しい。基礎研究であったとしても，産業化を視野に入れて，研究ノートによるエビデンスの確保や適切な権利化手続き，効率的な研究の展開が必要とされるところである。これは，千宙開発の領域においても同様であろう。しかしながら宇宙産業は，大がかりな規模で公的資金を中心に進められてきたこと，一部の技術についてはその技術移転も積極的に行われてはきたが1，開発されるロケットや人工衛星が量産されることを現段階では想定されていないため，その産業化のあり方について特殊であるといえる。そのような背景から，その研究開発における知的財産マネジメントの認識が十分なされているとは言えない状況にある。そのような中，大阪工業大学では，工学部機械工学科にある宇宙推進工学研究室と知的財産学部知的財産学科のゼミナ一ルとの連携を通じて，知的財産の創出と管理を視野に入れた研究開発マネジメントの導入が試みられている。本稿では，当該連携の取組みを紹介し，研究?教育の現場における研究開発マネジメントについて課題を提示したい。