展開ブーム式ジンバル機構の試作試験

摘要

技術試験衛星9 号機(Engineering Test Satellite-9;ETS-9)(1)-(3)は，軌道制御用スラスタとしてホールスラスタを搭載した全電化衛星(All-Electric Satellite)である．ロケット分離後に静止軌道までの軌道遷移制御と静止化後の静止位置の軌道保持制御を全てホールスラスタによって実施する．また，リアクションホイールのアンローディングについても，軌道遷移制御と軌道保持制御と合わせて実施する．所望の増速方向に合わせてホールスラスタの推力方向を調整しなければならないため，ホールスラスタはジンバル上に搭載される．ETS-9 のジンバルの特徴は，長尺のブームを有し，軌道遷移制御（オービッ図1 ETS-9 軌道上イメージトレージング）と軌道保持制御（ステーションキーピング）のそれぞれの制御に合わせてキャントロスの最適化と共にホールスラスタプルーム影響の低減を図っている．ブームを収納した状態で打上げ，軌道上で使用する前に展開させることから「展開ブーム式ジンバル機構（HTG）」と称する． HTG を展開させてオービットレージングを実施しているETS-9 の軌道上イメージを図1 に示す．