技術試験衛星9号機DBFプロセッサの設計および試作評価

摘要

Ka帯のHTSの開発において，エリアフレキシビリティ向上をめざしたDBF中継器の開発を行っている． DBF における可変ビームの生成にあたっては，各給電素子を通過する通信信号に対して，デジタル信号処理に基づいた振幅および位相(励振係数)の乗算と素子信号の合成および分配を行うDBFプロセッサの開発が必要で，広帯域な信号処理の実現が課題となる．今回，1ポートあたり100[MHz]級の処理を実現するDBFプロセッサの設計および一部試作評価を行った．DBF プロセッサの設計としては，各素子信号をサブチャネルごとに分割する分波合波ユニットと励振係数乗算と素子合成を行う SWDBF ユニットを主要ユニットとした機能分割構成で，排熱および将来的なビーム数拡張の点で有利な構成とした．また，シミュレーションにより機能確認を行い，励振係数乗算，素子合成，素子間遅延差の補正について検証した．本設計を受け，試作モデルを作成し，アルゴリズム設計におけるシミュレーションと動作の一致を確認できた．