CFRPのモードII層内き裂進展挙動における破壊機構の検討

摘要

CFRPは比強度·比剛性が優れており，航空機をはじめとして構造用部材として昨今その利用が拡大している．そのため，その破壊機構の理解は重要であり，中でも長繊維によって強化されたCFRP積層板においては，強化繊維に沿う方向にき裂が進展しやすく重要な破壊モードである．近年，層内フィルム挿入法が開発されたことで，積層板の繊維層内に初期欠陥を有する試馳片の作製とその破壊特性の評価が可能になった．これを用いてモードII層内·層間破壊じh性試験を行ったところ，後述の図1に示すようなR曲線が得られた．このき裂進展に伴う破壊じh性上昇のメカニズムの完全な説明は未だなされていない．一方，モードI型破壊では，き裂進展に伴って，破面間に繊維架橋(ファイバーブリッジング)が発生するため，破壊じh性が上昇することが知られており，特に層内破壊ではその傾向が強いことが報告されている．モードII破壊でもファイバーブリッジングの発生は観察されており，これがモードII破壊の破壊じh性を上昇させている可能性がある．そこで本研究では，モードII層内·層間破壊じh性試験後の試験片を，X線CTを用いて断層画像を撮像し3DCGを再構成することで，破面間のブリッジング繊維を観察し，その破壊じh性と破壊メカニズムの関係を検討した．