原子力維持規格における配管許容欠陥に関する考察（日米規格の比較と今後の課題）

摘要

原子力維持規格においては，供用期間中検査による検出欠陥，あるいはこれを進展評価した欠陥に対し，第1段階許容欠陥（無条件許容欠陥)および第2段階許容欠陥がそれぞれ規定されている．このうち後者は破壊評価に関するものであり，機器の継続運転あるいは補修·取替えの決定に用いられる．配管の亀裂に関しては，各種運転状態下における限界欠陥深さ／管厚比が許容欠陥深さ比として与えられる．許容欠陥は機器の健全性確保にとってきわめて重要であり，絶えず確認を行うことが望まれる．本報告は，周方向亀裂入りクラス1配管の第2段階許容欠陥に関し，米国規格ASME-XIと我が国規格JSME S-NAIの両者を比較して相違点を確認すると共に，両規格の整合性，課題等について考察を行い，概要を取り纏めたものである．