地震荷重に対するき裂構造物の健全性評価（大荷重下での疲労き裂進展予測方法）

摘要

原子力発電プラント機器が地震荷重に対して十分な強度を有することは，実機模擬振動実験によって確認されてきた．しかし，構造物にき裂が存在した場合は，き裂を起点とした破壊が発生する可能性は否定できない．き裂構造物の破壊評価には，破壊靭性が材料定数として用いられる．一般に，破壊靭性試験は引張荷重を負荷しながら実施するが，圧縮荷重を含む繰り返しの荷重を負荷すると，破壊靭性が低下することが知られている．したがって，地震荷重を対象にする場合は，繰返し荷重による破壊靭性の低下を考慮する必要がある．しかし，荷重振幅，およびそのばらつき，さらには繰返し数など，考慮すべき要因が多い．また，繰返し荷重下での破壊靭性試験法も規格化されていないという問題がある．