Regulation of responses characteristics by inhibitory inputs in hippocampal granule cell

摘要

大脳皮質から情報を受け取り、記憶形成を行う器官として海馬がある。海馬における歯状回は主に顆粒細胞で構成され、嗅内野から受けた情報をCA3野へ送る。歯状回に入力される情報は、場所に関する空間情報と匂いなどに関する非空間情報が異なる経路で入力されている。空間情報は嗅内野の内側部からMPP(Medial Perforant Pathway)を通り、顆粒細胞の MD(Medial Dendrite)へ投射している。非空間情報は嗅内野の外側部からLPP(Lateral Perforant Pathway)を通り、顆粒細胞のDD(Distal Dendrite)へ投射している。また、顆粒細胞のMDとDDの応答は線形加算されることが知られている。そして、性質の違いとして、MDでは短い間隔(50～200 ms)で2発の刺激を入れた場合、1発目の刺激に対する応答に比べ、2発目の刺激に対する応答が抑制されるpaired-pulse depressionが、DDでは促進されるpaired-palse facilitationが報告されている。また、 嗅内野からの空間情報はθ周期(4 Hz - 8 Hz)で入力され、非空間情報はγ周期(20 Hz - 40 Hz，平均21.0 Hz) で入力されていることが報告されている(図1)。また、θ周期の入力に対してDDでは持続的な応答が、MDでは過渡的な応答が見られることが報告されている。しかし、γ周期での顆粒細胞のMDとDDへのそれぞれに対する応答特性は未だ分かってない。