(244-0210)非バルブメタルを含むNiTi 合金への陽極酸化被膜形成

摘要

超弾性·形状記憶の特性を示すNiTi 合金表面に耐食性や超親水性を示す酸化物被膜を形成できれば、さらなる機能化付与が期待できる。他方、熱酸化処理で酸化被膜を形成してしまうと、結晶構造の変化してしまい超弾性や形状記憶などの特性が失われてしまう可能性がある。陽極酸化処理は電解浴中で目的金属に電圧を印加するだけで非加熱で酸化被膜を形成できるプロセスであるが、酸化被膜が成長するのはいわゆるバルブメタル（Al、Ti、Ta など）の表面だけであり、非バルブメタル表面では陽極酸化被膜は成長しない。非バルブメタルであるNi を50 at%程度含むNiTi 合金においても同様に成長しない。我々は電解浴の「化学的作用」を利用してNi を溶出させながら陽極酸化処理することで、NiTi 合金表面に非加熱処理で酸化被膜を形成できるのではないかと考えた[1, 2]。そこで本研究では、種々の酸溶液中でNiTi 合金を陽極酸化処理し、処理後表面の化学組成や形状を観察することで、陽極酸化処理を用いて非加熱でNiTi 合金表面に酸化被膜を成長させることを試みた。