( J68-1118) 鉄炭化物の安定性の合金元素依存性Dependence of alloying elements on stability of iron carbide

摘要

焼き入れままのマルテンサイトは高強度を有するものの、脆いために、強度と靭性を満足させるために適当な温度と時間で焼き戻しを行うのが一般的である。焼き戻し工程において起こる現象は、転位強化と固溶強化の減少、炭化物析出による強化とその粗大化による軟化であり、炭化物の析出挙動は重要な因子である。焼き戻し工程で析出すると考えられている炭化物には、ε炭化物、η炭化物、セメンタイト、合金炭化物など多々あるが、特に350°C以下の低温で析出する炭化物は、微細で観察しにくいことや、時効や温度、合金元素によって生成される析出物の種類やサイズ、合金元素の固溶度などが異なることなどから、その実態について分かっていないことが多い。そこで、ε炭化物の生成に対する合金元素の影響について、第一原理計算を用いて調べた。