(S1.43-S0062)異なる水素導入過程によるB2 型FeAl 金属間化合物中の水素の変化

摘要

金属間化合物は特有の原子比と規則構造を持つ化合物合金であり、高温高強度や高耐食性といった特有の性質を示すため数多くの研究が行われている。その中でFeAl 金属間化合物は水素脆化を示すなど水素との間に強い相互作用を持つことが知られている。そのため、本合金では水素貯蔵に関しての可能性も有している。特にB2 型のFeAl 金属間化合物中では第一原理計算により空孔中の水素が特異な状態で安定化し、構造欠陥の種類によってもそれらは異なるという結果も得られている。そのため、水素化物形成ではなく空孔型欠陥との相互作用についての知見が重要であるが、空孔種にまで言及した水素との相互作用に関する実験はほとhど行われていない。金属材料中への水素の注入方法としては電解水素チャージ、高圧水素チャージ、水素イオン照射などがあるが、このうち水素イオン照射は欠陥の導入と水素の注入を同時に行える手法である。そこで、本研究では水素イオン照射および電解水素チャージを行い、水素の導入時の空孔の導入の有無による水素の状態変化と空孔種（Fe 空孔とAl 空孔など）との関連性などについて陽電子消滅測定法によりに調べた。