(S3·7-S088)Half-Heusler 型熱電材料(Ti, Zr)NiSn の相平衡

摘要

熱電材料によって廃熱エネルギーをクリーンで使いやすい電気エネルギーに直接変換できることから，熱電発電は環境に優しい技術として注目されている．たくさhある熱電材料の中でも，低環境負荷元素から構成されるHalf-Heusler (HH)型MNiSn (M=Ti, Zr, Hf)は，1000 K 程度の高温度域において優れた熱電特性を示すため，高温用熱電材料として実用化が期待されている．しかし，熱伝導率が比較的高いことが克服すべき課題点として挙げられる．多くの研究者がMNiSn のM サイトを同族元素のTi，Zr，Hf で固溶置換することで格子熱伝導率の低減を実現しており，全率の組成域にわたってM サイトの同族元素はランダムに固溶すると考えられていた．我々の研究グループは，同じHH 相であるにも関わらず，TiNiSn はZrNiSn およびHfNiSn から相分離することを明らかにした．実験結果に基づきTiNiSn，ZrNiSn，HfNiSn 間の相平衡を模式的に表した相領域図を示す．