蓄電装置の残量推移に基づく電力需要平準化閾値決定法とそれを用いた平準化制御

摘要

我々は,複雑かつ煩雑な需要予測やシステムのモデル化を不要とし,実際のシステム構築が容易な手法を検討した．本稿では,昼夜間のように需要の高低が発生する周期において,過去の周期における蓄電残量の推移情報のうち,最大値,最小値及び周期開始時と終了時の差（以下,収支と呼ぶ）を基に次の周期の平準化制御閾値を決定するアルゴリズムを提案する．そして,本手法を用いた電力需要平準化制御について,シミュレーションと実験による評価を行い,本手法の有効性を示す．本稿の構成は以下の通りである．まず2 章において一般的な電力需要平準化制御における厳密に最適な閾値の決定法とその課題について述べ,3 章にて提案手法の蓄電残量推移に基づく閾値決定法とそれを用いた平準化制御アルゴリズムについて述べる．4 章にて3章で述べた手法をシミュレーションにより評価し,5 章では実験による評価を行う．そして,6 章でまとめる．