ヨーン?ウッツォンの言説における鍵語およびその類型からみた建築思想

摘要

本研究は、２０世紀を代表する建築家であるデ ンマークのヨーン?ウッツォン(J?rn Utzon ,1918-2008) をとり あげ、 その建築思想を解明することを目的とする。ウッツォン は、1942 年にデンマーク王立芸術大学卒業後、第ニ次大戦中に スウェーデン、フィンランド、戦後にモロッコ、アメリカ、メキ シコ、日本、中国を訪問し、その間、アルヴァ?アアルト、ミース? ファン?デル?ローエ、エーロ?サーリネン、フランク?ロイド? ライトらとの接触を通して、独自の思想を形成し、作品としては、 1952 年竣エのヘレベックの自邸をはじめとして、キンゴーの集 合住宅（1956-59）、シドニー?オペラハウス（1956-1973）、バウ スベア教会（1968-76）など、生涯に実現された作品数は決して 多くないものの、プロジェクト案を含め建築史の通史の上で重要 な作品を残している。2003 年にはプリツカー賞受賞、2007 年に はシドニーオペラハウスの世界遺産登録など国際的に再評価の機 運が高まっているように思われるが、これまでその建築思想の位 置付けが十分なされているとは言い難い。