空気圧ベローズで駆動する静圧案内微動ステージの超精密位置決め制御

摘要

ナノテクノロジーの進展に伴い，特に半導体産業を中心にナノオーダーの超精密位置決めに対する需要はますます高まっている．この精度を実現するアクチュエータとして，圧電素子を用いた弾性ヒンジ案内による微動用ステージが多く利用されている．しかし圧電素子はストロークや耐久性に乏しいといった問題を抱えている．それに比べ空気圧ベローズはストロークが長く，耐久性の信頼性も高い．このような背景から圧電素子を空気圧ベローズに置き換えた微動ステージにより，超精密位置決め制御を行なうことを提案し，低流体ノイズサーボ弁を用いたり，制御手法を工夫したりした結果，位置決め分解能は10[nm]以下を実現できた．しかし床面等からの振動がステージ可動部の質量と弾性ヒンジのバネとでなす共振周波数で増幅され位置精度を悪化させていた．この周波数は高周波であり制御による振動抑制が困難であった．これを解決するために弾性ヒンジを静圧案内に換えた新たなステージを製作した．弾性ヒンジを廃することによりばね要素がなくなり，ステージの固有周波数を低減させることができた．しかしながら，位置精度については未確認である．また位置の計測に用いているレーザ干渉計は空気の揺らぎの影響を受け，確度の高い計測とは言い難かった．そこで，本研究では計測器をレーザ干渉計から揺らぎの影響を受けにくいレーザスケールに変更し，静圧案内微動ステージの位置決め精度を明らかにすることを目的とする．