異物検査のための振動を利用した粉体の操作

摘要

袋に梱包されている粉体内の異物検査は一般には困難である．梱包されていない段階の粉体であれば，粉体との粒子の大きさの違いや，比重の違いを用いて粉体と異物を分離させることが可能であるが，梱包されている粉体においては，内部のものに直接触れることが不可能であり，これらを行って異物を検出することはできない．Ⅹ線を用いた検査の場合，透視による検査では高分解能の設備が必要となり，X 線元素解析による簡易な検査では検出感度が数百μm程度と低く，高精度な解析には試料の圧縮成型や焼結が必要となるうえ，大掛かりで高価な設備が必要となってしまう．また，梱包の際に作業環境に万全の体制を敷いても，梱包用の作業機械や梱包素材より発生する異物は完全に排除することは困難である．したがって，異物の混入した粉体の流通を避けるには，重なり合う粉体を撹拌して，粉体全体をくまなく確認して異物を検出するといった操作が必要である．密封された粉体を間接的に操作する方法として，振動を与える方法がある．本研究では，ひとつの振動台と振動源で，さまざまな振動モードの振動を与えることで粉体を操作し，カメラなどの映像で異物の混入を検出できるようにすることを目的とする．