従動式ロータリ工具を用いた難削材のミリング加工に関する研究

摘要

Ni 基合金をはじめとする超耐熱合金は高温強度，耐熱性に優れるため，ガスタービンや航空機用エンジンの部品などに用いられる．しかし，その切削加工においては，高温強度が高い，加工硬化しやすい，熱伝導率が低いといった原因により難削性が高く，工具寿命が極めて短い．これに対しロータリ工具を用いたロータリ切削による高能率化·工具寿命の延長が検討されている．ロータリ工具は刃先が加工中に従動的または能動的に移動する工具である．切削に関与する切れ刃位置が固定されないため，熱に起因する摩耗や境界摩耗が抑制されて，摩耗が切れ刃全体に分散する．そのため超耐熱合金の加工における切削性能と工具寿命の向上が期待できる．ロータリ切削について，切削性能に関する様々な評価が進められているが，切削機構のモデル化に関してはほとhど議論されていない．そこで，本研究では傾斜切削理論に基づいたロータリ切削機構のモデル化を行う．さらに，従動式ロータリ切削における切削機構の特徴を明らかにするとともに，基礎的な切削実験による検証を行う．続いて，従動式ロータリ機構を適用したロータリミリング工具を試作し，インコネル718 のロータリミリングにおける工具摩耗抑制効果について評価を行う．