チャンファ付き工具による難削材切削における構成刃先の挙動の安定化

摘要

切削加工中に生じる構成刃先は，生成·脱落といったその挙動の不安定性がもたらすデメリットから，一般的には生成を回避するような条件選択がなされる．一方で工具母材の保護効果や実質すくい角増大による切削抵抗の低下といったメリットも併せ持つため，その積極利用も研究されている．本研究では特にこの保護効果に着目し，工具刃先にチャンファ（面取り）を施すことでデッドメタル（構成刃先）が形成し易い状況とし，それを刃先に安定に存在させることで，切削加工プロセスを被削材料自身に担わせる試みを行った．この切削法は工具保護効果の観点から，工具摩耗の問題が顕著となる難削材切削において特に有効であると考えられる．本報では，難削材としてInconel 718 を用いた二次元切削において，まず構成刃先安定性に対するチャンファ角の影響について示す．また，結果としてチャンファ角に依存して構成刃先の側方流出挙動が確認され，それによる境界部の工具母材保護効果が期待できることから，その積極利用の試みとして流動性を向上すべく面性状の影響を調査した．