レオナルド·ダ·ヴィンチの手稿－光学に関する記述と復元模型について

摘要

レオナルド·ダ·ヴィンチは，「モナリザ」や「最後の晩餐」を描いたことで有名な画家であるが，完成させた絵画は両手で数えられる程度であり，寡作な画家であった．しかし，生涯にわたって書きためた手稿（手書きのメモ）は，現存するもので約4,000 ページ，散逸してしまったものを含めると，その3 倍から4 倍の手稿が存在したと言われている．また，膨大な数の手稿には，作品の練習のためにスケッチされた習作も数多く含まれているが，それ以外に，科学技術に関するレオナルド·ダ·ヴィンチの着想や物理現象の詳細な観察結果が写実的な絵と特徴的な鏡文字とで埋め尽くされている．一方，我々は，1996 年頃より手稿に描かれたスケッチの中から機械工学に関連したものを選び，動く木製模型の復元を継続的に行っている．復元した模型は，当初より各種展示会で，機械工学の将来を担う子供たちに公開してきた．また，展示会では，実体験による「a-ha 効果」を期待し，見学者が模型に触れることができるような運営を心掛けてきた．本報告では，これまでに我々がレオナルド·ダ·ヴィンチの手稿から復元した模型を紹介するとともに，オーガナイズドセッションのテーマである「メカノフォトニクス」に関連した話題を提供することを試みる．