新しい構造の工作機械の開発

摘要

工作機械のフレームのほとhどは，伝統的に鋳鉄構造，鋼板溶接構造を採用している．このフレーム構造は，“高剛性”，“減衰性”などの静的，動的特性に優れていると言われている．しかし，“工作物の大きさに見合った工作機械”を指向して工作機械を小型化する，高速化を目指して複合材料を用いた構造にするという動向がみられる．このような工作機械の要求性能に応えるには，従来構造にとらわれず，様々な試行があってもよい．ここでは，新たな工作機械構造としてパイプフレーム構造に着目する．トラス構造に代表されるように，パイプフレーム構造は建築構造物に多く採用されている．また，パラボラアンテナや宇宙ステーションなでにも使われている．パラレルリンク加工機もこの範疇に入るフレーム構造とみなすこともできる．この構造は，鋳鉄構造に比べて軽量に設計しやすい．また，パイプの配置を工夫することにより剛性を調整することも可能である．これまでに，著者の研究グループではパイプフレーム構造を採用することにより，工作機械としての剛性を確保しつつ切粉の排出空間を満たす小型CNC 旋盤の開発に取組hできており，熱変形制御および振動制御に一定の効果を得ている．ここでは，これらの制御方法と制御効果について報告する．