超音波モータを用いた超音波凝固切開装置用鉗子先端回転機構の研究

摘要

超音波凝固切開装置（Ultrasonically Activated Device, 以下USAD）は，組織の切開と凝固を同時に行う事が出来，電気メス等と比較すると，組織に与える損傷が軽微という利点を持つ為，近年，腹腔鏡下手術で広く用いられるようになってきた．しかし現状普及しているUSAD は，直線的な形状である為，術者が任意の作業をするには自由度が足りず，操作の上で術者の技術的負担が大きい．そこで術者の負担軽減を目的として，小型USAD を先端に搭載した屈曲，先端回転自由度を有する多自由度鉗子が開発されてきた．現在までに先端回転を実現する為，ワイヤーを用いた機構の開発が行われてきたが，回転中心がぶれる，片手で操作するには根元のモータが重い等の問題があり，未だ負担軽減が十分とは言えない．その為，新たな鉗子の先端回転機構が必要とされている．新たな回転機構として，超音波モータが考えられる．小型化が容易，高い固定保持力，低速高トルク，磁場を発生しない等の利点から，体内で用いる鉗子の先端回転機構に適していると考えられる．以上の事から，本研究では，超音波モータを用いた超音波凝固切開装置用鉗子の先端回転機構の提案と開発を行い，その性能の評価を行う．