高速超音波スピンドルによる硬脆材料の精密·微細研削に関する研究(第3報)-単粒引掻き試験による研削機構の考察

摘要

液晶パネルや半導体関連部品において，ガラス，サファイアあるいは水晶などの高硬度脆性材料に対する微細砥粒加工の要求が高まっている．高硬度脆性材料の微細，精密あるいは高能率加工に対して，研削砥石に超音波振動を重畳させながら研削加工を行う超音波振動研削が有効であることが，これまでに報告されている．しかしながら，硬脆材料の超音波振動研削に関しては，衝撃的な加工力が材料の欠損を促進したり，研削表面にクラックを残存させたりといった懸念が生じる．また，砥粒粒度，研削速度あるいは切込みといった工具や加工条件と超音波振動条件との関係も十分に明らかになっていない．そこで本研究では，前述の高硬度脆性材料に関して，超音波振動が材料の研削面性状，加工精度，あるいは工具に与える影響などを調べることとした．本報では，被削材にソーダガラスを用い，単粒により引掻き試験を行って，超音波振動の振動方向と研削面との関係について基礎的に調査し，研削機構に関して検討することとした．