画像多様体の高速非均一ガウス畳み込み

摘要

画像データに対してのノイズ除去，超解像度解析，非写実的エフェクトや領域抽出等の幅広い応用では，入力画像の顕著なエッジや特徴的テクスチャーパターンを保存しながら輝度値·カラーを平滑化するフィルタ処理が重要である．特徴を保存する処理は，非線形の畳み込み等で計算するが，その計算量は非常に多いため，効率的なアルゴリズムの研究が盛hである．近年では，入力画像の勾配，テクスチャーや拡散テンソルMRI 等の特徴を，画素の「幾何計量」として扱い，特徴空間での測地線を距離計算に利用する測地画像と呼ばれる方法論が注目されている．これは色情報と，観察·計測で得られる温度分布や蛍光色素等の様々な付属データ，及びHDR 画像等の複数露光設定による多チャンネル画像を統一的に扱える為である．この測地画像の概念自体は，ベクトル中間値フィルタや拡散テンソルMRI 処理など古くから用いられているが，最近の研究では，特徴空間での距離に基づき，入力画像の画素座標値を実際に移動し測地画像へ変換する．これにより，元の空間では非線形だった処理が，変換後の空間では線形になり，GPU 等を用いての効率的計算が可能となる．残念ながら非均一な畳み込みを高速に実行する事は簡単ではない．本研究では，高速ガウス変換と呼ばれる数値計算法を用いる事で，変換された画像多様体に対して，精密に非均一ガウス畳み込みを高速適用する新しい方法を提案する．