顧客関係管理における消費者行動の推定：PMCMCによる逐次推定

摘要

本研究では消費者の購買行動を推定し，RFM分析におけるRecency，Frequency，Monetaryの値と顧客生涯価値との関係性を数理的に分析する．現在 小売店においては優良顧客が非常に重要になっている．この優良顧客に関して，その判別に着目するとRFM分析がよく用いられている．しかし，本来その顧客が優良顧客かどうかは「その顧客の既に支払った金額」ではなく「今後の顧客生涯価値」で判別されるべきである．ここで顧客生涯価値とは「その顧客が店舗にもたらす期待総売上」のことであり，「将来店舗を離脱するまでに行う，すべての購買における合計金額」を意味する．そして，マーケティング·サイエンス領域においては，「RFM分析に用いられる値」と「顧客生涯価値」との関係性を数理的に分析する多くの研究がなされている．しかし，これらの従来研究においては，消費者の購買行動の時系列変化が考慮されていない．そこで本研究では，従来研究に対して購買行動の時系列変化を考慮した上で，消費者個々に関してRFM分析に用いられる値と顧客生涯価値との関係性を数理的に分析する．