記憶と意識に関する人間の情報処理のモデルの提案

摘要

知らない道を運転中、ある瞬間に、知っている道であることに気づき、道が一変して見えるということがないだろうか。少なくとも私にはある。私たちは、経験を、自然に、あるいは意識的に思い出すとき、それはどのように思いだされているだろうか。本稿では、私が日常的に体験している「思い出し」の諸相·有様を具体的に振り返り、それにマッチするような（諸相·有様の生起を説明できるような）、記憶と意識に関する人間の情報処理のモデルを提案する。本稿で取り扱うのは、「生理的な記憶のメカニズム」ではなく、記憶にまつわる経験とよくマッチする「情報処理のモデル」である。ただし、本稿では検討できなかった「思い出し」の体験もあり、提案した内容の注意深い検討も今後必要であって、本稿では上記をある程度行えたが完全ではない。本稿は、上記の最初の取り組みと位置付けられる。本稿では、まず、意識の定義を提案する。次に意識の情報処理モデルと記憶の情報処理モデルを提案する。さらに、記憶にまつわる個人的な体験を挙げ、この体験との整合性から、提案したモデルの一部分についての詳細を提案する。