球状黒鉛鋳鉄の組織におよぼす高周波焼入条件の影響

摘要

球状黒鉛鋳鉄は、良好な耐摩耗性を有し、また、ニアネットシェイプ化が容易であるという特徴に代表されるように、経済性に優れた材料でもあるため、機械構造部材として幅広く利用されている。本材料をカムシャフトなどの高耐摩耗性が必要とされる部材に使用する場合、代表的な表面硬化法として、高周波焼入れが用いられる。高周波焼人後は、化学成分や強い偏析に起因して、きわめて複雑な焼入組織となるが、既に数多くの実用例があるにも関わらず、このような点について研究した報告は少なく、様々な部材へ高周波焼入れを適用するためには、高周波焼入条件と組織や機械的性質の関係を把握しておくことが重要である。そこで、本研究では、焼入·焼戻条件を種々変化させた際の組織変化を調査し、併せて焼入組織が面疲労強度におよぼす影響を評価した。