窒化処理の健全性に関する非破壊評価

摘要

非破壊評価法である超音波探傷法は機械材料の内部き裂や空孔等の位置·寸法の検出に用いられている．また，特殊鋼における超音波減衰·速度変化に及ぼす結晶粒径およびフェライト量の影響に関する研究も行われるなど，熱処理·表面改質評価への応用が注目されており，非破壊評価の利点である全数検査による品質保証への適用が期待される．窒化処理は，浸炭焼入れ処理と比較してひずみが少なく後処理工程を省くことができるといった利点があり，合金鋼における窒化物および窒素拡散層の生成に関する研究も行われているが，窒化処理の健全性に関する非破壊評価の研究は極めて少ない．本研究は，窒化処理を行った合金鋼の表面改質に関する品質評価法開発を目的として，超音波測定に及ぼす実用Cr鋼の窒化処理の影響を検討したものである．