Ni基鍛造合金INCONEL X-750におけるγ’相の析出形態と格子ミスフィット

摘要

2011年3月の原発事故に端を発するエネルギー問題は深刻であり，現在唯一の安定かつ有用な電力供給手段である火力発電の高効率化のため，さらなるクリープ寿命を有する鍛造合金の開発，およびその寿命予測技術の確立が急がれる．ここで，γ’相の体積率が大きく，800°C以上の高温で優れた強度を有するNi基鋳造合金において，γ母相とγ’析出相との間に発生する格子ミスフィットが，γ’相の析出形態およびその機械的性質に大きな影響を及ぼすことが知れられている．しかし，γ'相の体積率が20％以下と低く，使用温度が比較的低いNi基鍛造合金において，短時間強度に及ぼすミスフィットの影響は無視できるものと考えられており，組織と格子ミスフィットとの関連はほとhど調べられていない．本研究では，Ni基鍛造合金におけるγ’相の析出組織を調査し，組織に及ぼす格子ミスフィットの影響を明らかにする．