鉄鋼材料の強度設計と熱処理

摘要

破損の定義は別として、使用中の部品が使えなくなる場合、3つの現象が考えられる。1つは摩擦·摩耗現象、2つ日は腐食現象であり、もう1つは静的、動的荷重あるいは繰返し荷重などによって生ずる破損現象である。摩擦·摩耗や腐食の場合は、比較的損傷現象が遅いため、把握しやすく対応も容易であるが、破損の場合は突然生ずることが多く、予測することが非常に困難である。過去数年間の依頼試験や相談事項などを通じ、事故事例を分類すると、摩擦·摩耗や腐食、静的、動的荷重による損傷例は少なく、90%以上が繰返し荷重による（疲労現象）破壊や損傷による破損である。しかもその破損事例の内、50%以上が強度設計の不的確（金属組織との関係）による設計不良である。以下破損防止対策、長寿命化技術を踏まえ、熱処理による金属組織の相違が如何に重要であるかを事例を示しながら述べたい。