磁気分離を用いた磁化活性汚泥法による食品実廃水処理の検討

摘要

現在，食品廃水処理には標準活性汚泥法が広く用いられている。しかし食品廃水は高濃度で有機物を含むことから，固液分離トラブルが発生しやすい，大量の余剰汚泥が発生するといった課題がある。磁化活性汚泥（Magnetic Activated Sludge：MAS）法は活性汚泥に磁性粉を吸着させ，磁気力で分離を行う標準活性汚泥法の変法である。原理的に固液分離トラブルが起こらず，曝気槽内の汚泥を高濃度で保持できるため，汚泥の自己酸化と増殖の速度がバランスし，余剰汚泥引き抜きなしの運転が可能である。本研究ではこの磁気力を利用した水処理法を用いることで食品廃水処理が抱える課題を解消できると考えた。食品工場廃水処理施設の一部を MAS 法で置き換えることを想定し，実廃水を用いたベンチスケール処理実験をおこなった。またベンチスケール処理実験の結果をもとに，パイロットスケール処理装置を食品工場廃水処理施設に設置し，MAS 法の適用可能性について検討した。