シユリーレン法による空中起爆による爆風消火の消火過程の可視化

摘要

近年，気候変動に伴う異常乾燥に起因して海外では大規模林野火災が頻発し，甚大な被害が発生している.非常に乾燥した状態で林野に火炎が形成されると，その燃え拡がる速度は速く，広大な敷地が燃焼した状態になると簡単には消火できない他方，国内では東日本大震災などの大規模地震が生じた後に同時多発的に火災が発生し，深刻な損害が発生している.大規模地震では，道路，水などのインフラが破壞されるため，やはりその消火には非常に時間がかかる.このように，大規模で圧倒的に火勢が強い火災を，通常の消火法で短時間に消火するということは難しい.しかし，どのような火災でも迅速に消火可能な強力な消火技術の開発が必要であることは間違いないこれまでに著者らは油井火災などの特殊状況で使用されてきた爆風消火(blast extinguishment)に注目し，これを巿街地や林野で生じた大規模火災に対して用いる緊急時の消火法つまり減災手段として使用することを提案してきている[1-3].この爆風消火という名前は非常に有名で，多くの人がこの消火法の名前を知っている.しかし，その消火メカニズムについてはほとhどが解明されておらず，多くの基礎的な研究が必要である.