非断熱 FPV 法と壁面液膜モデルを用いた高圧条件下での噴霧火炎壁面間熱伝達の直接数値計算

摘要

COP21によって各国の温室効果ガスの排出量削減目標が設定され，近年より一層内燃機関の熱効率向上の要求が強まっている． このような状況の下，内燃機関の一種である 圧縮自着火エンジン(CI エン ジ)のさら なる高効率化のためには，シリンダ壁面での熱損失の低減が必須であり， そのため 燃焼条件に依存しない一般的かつ高精度な熱損失の予測が 高率的な エンジン 開発のために有用である ．既報では ，燃料噴射速度が伝導による 壁 面熱損失に与える影響について報告した．しかし，一般に CI エ ンジン内の噴霧火炎の輻射輝度は高く，輻射熱伝達 が熱損失に与える影響は無視できないと考えられる．実際， Yan らは， CI エンジの壁面熱 損失における輻射伝達 の割合は 5～15%であると 報告している が， 実験による計測では測定点数が少なく，壁面上の詳細な熱損失分布を得ることはできない．そこで，本研究では，定容容器内の 噴霧燃焼場と壁内の熱伝導を連成した(Conjugate heat transfer transfer)，直接数値計算(を輻射伝熱も考慮して実施し， 燃料液滴の噴射速度が壁面熱損失に与 え る影響および輻射熱伝達が壁面熱損失に与える影響について調べる.