炭素繊維強化プラスチックCFRP の燃え拡がり-炭素繊維配合方向が燃え拡がり挙動に及ぼす影響-

摘要

炭素繊維強化プラスチック（carbon fiber reinforced plastic: CFRP）は，その軽量，高剛性と言った特徴から，現在，様々な 分野で応用されている．それは，航空機の機体やロボットアーム などの産業機械，そしてゴルフクラブなど多岐に亘る．利用が拡 大するにつれて，その安全性は重要となり，火災安全という観点 では燃焼性が指標となる．一般に，CFRP は不燃物として分類さ れているが，炭素繊維の高熱伝導性とエポキシ樹脂の高揮発性 は燃焼に大きく寄与することが予想される．CFRP の燃焼性に関 しては，これまで，TGA による熱劣化特性やASTM D2863 などによる限界酸素指数（limiting oxygen index: LOI）の測定 などが行われてきたが，CFRP 上の燃え拡がりを厳密に調査した 例はない．また，炭素繊維とエポキシ樹脂は熱伝導率が大きく異 なるため，CFRP は炭素繊維配合方向に依存した面内の熱的異方 性をもつことが分かっている．しかしながら，炭素繊維配合 方向が燃え拡がりに及ぼす影響に関しても，これまで報告され ていない．そこで，本研究は炭素繊維配合方向が異なるCFRP シ ートを製作し，対向流中でのその燃え拡がりを調査した．流速お よび酸素濃度を操作して，各条件における限界酸素濃度（limiting oxygen concentration: LOC）を特定し，可燃限界を明らかにした． また，燃焼時の動画データから燃え拡がり速度を算出し，それら を評価指標にCFRP の燃え拡がり挙動および炭素繊維配合方向 の影響を考察した．